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タクシードライバー

時々覗くネットニュース(キュレーションメディアというのだろうか?)でこんな記事を読んだ。




Uberのドライバーが、人生の中でほんの一瞬すれ違うだけのはずだった人が、人生における大きなヒント、エールをくれるというエピソード。
何も事件は起こらないけれど、でもきっと書き手の彼の人生はここで変わったんだろう。

なんだか仙人とか魔法使いに出会った話に似ているな、と思った。
でも、こんな出会いもあるのかもしれない。

私もこんなドライバーに出会ってみたいな。
このドライバーも、天使だったのかな。



16年、もっと前になるだろうか。
2週間、NYでひとりで過ごしたことがあった。
安い宿に泊まって、毎日ブルックリンからマンハッタンに通って。
美術館に通い、映画館に通い、本屋に通った。
寒い初夏で、雨が多くて。
友達に連絡も取っていなかったし、持っていった海外でも使えるはずの携帯は役に立たなくて。
ただただ一人で歩き回って過ごした。
その時も、私はとてもさみしかった。
さみしいのに、一人になるためにNYまで一人で飛んでいってしまって。
毎日いろんなものを見ながら、でも結局 さみしい自分とずっとにらめっこしていたような気がする。
丁度今と同じように。


将来のことを見てくれるサイキックがいる、と宿のお掃除のおばさんが教えてくれて、行ってみることにした。
それなりの金額を支払って、それなりの話を聞いて。
でもなんだか釈然としない気持ちで、雨の街をとぼとぼ歩いた。
ふと顔を上げた時、前から歩いてきた若い女性がびっくりした顔をした。
え?と思ったら、彼女は私の目の前に走り寄ってきて。
私の両肩を掴んで、言った。
「私ね、サイキックなの。あなたのことが見えたから教えてあげる。
今、すごくさみしくて辛いのね。不安なのね。
でも大丈夫。西海岸に行きなさい。そこであなたの探している人が待っているから。」
「西海岸って、LA?」と聞くと、
「ううんSFに行ってみて。観光してみて。それで大丈夫。海の近くにいるのよ。いいわね。」
彼女の言葉には、なんだか説得力があった。
昨日見たドラマのエピソードを話してくれるみたいに、確かな記憶を話してくれているようで。
「いいわね。SFに行くのよ。大丈夫、幸せになれるからね。」
そう言って彼女は私にハグをくれて、雨の街を走って行ってしまった。

それから2ヶ月後、意図したわけではなかったけれどなぜかSFに行くことになって。
海辺のPier39という観光地で、Exに出会った。
それから何年間かは、私もExも幸せだった、と思う。

あの時のサイキックの女性は、もしかしたら天使だったのかなと何度も思った。
天使の采配でも、永遠はなかったという結末になってしまいはしたが。


今もまた、とてもさみしい。わざわざNYまで行かなくても、十二分にひとりでさみしい。
Uberのドライバーに出会う確率は低いけれど、他の職業の天使に出会えないだろうか。
「大丈夫よ。」と肩を抱いてもらえたら、前に進む勇気が湧いてくると思うのにな。

背中を押してくれる天使に、また出会いたい。

# by bellko1213 | 2018-05-06 18:19 | ひとりごと

猫中心のカリフォルニア暮らしから、ひとり日本での生活になりました。


by ろばこ